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2閣僚 旧統一教会と接点 選挙手伝い・あいさつ 岸氏・二之湯氏

 岸田内閣の2閣僚が26日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点を認めた。選挙を手伝ってもらったり、関係団体のイベントであいさつをしたり。自民党幹部は組織的なつながりを否定するが、野党側は徹底調査を求めている。(中川雅晴、下久保聖司、境信重)

 岸信夫防衛相は閣議後記者会見で「何人かと付き合いがあった。(選挙で)メンバーの方にボランティアでお力をいただいた」と説明。有権者に投票を呼びかける電話作戦などを手伝ってもらったと明かした。

 岸氏は銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の実弟で、衆院山口2区を地盤とする。会見で見解を問われると「選挙なので、支援者の数を多く集めることは必要なことだと思っている」と述べた。今後の選挙も手伝ってもらうのかとの問いには「選挙ごとに話があること。あくまでもボランティアベースなので次がどうなるのかは軽々に答えることはできない」とした。

 警察組織を束ねる二之湯智国家公安委員長は2018年、教団の関連イベント「ピースロード」で京都府実行委員会の委員長を務め、あいさつした。閣議後会見で「平和の運動で名前を貸してほしいと言われて貸した。それ以上の付き合いはない」と述べる一方、京都市にある地元事務所に教団関係者が来ることがあると説明した。

 自民党の茂木敏充幹事長は会見で「党として組織的関係がないことを既にしっかり確認している」と強調。党所属議員への個別調査の実施については「社会的に問題が指摘されている団体との関係は、国会議員としての立場を踏まえ、厳正かつ慎重であるべきだとさらに注意を促したい」と述べるにとどめた。立憲民主党や共産党は批判を強めている。

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自民議員の関与次々 野党は内部調査急ぐ

 安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界の関係に注目が集まっている。焦点は続々と所属議員らの関与が判明する自民党だが、具体的な対応は見えない。一方、立憲民主党をはじめ野党は所属議員への聞き取りなどを始め、内部調査に踏み切らない自民へのけん制を狙う。

解明に消極姿勢

 「党としては一切関係がない。各議員には厳正、慎重な対応をするよう注意を促していく」。26日、自民の茂木敏充幹事長は記者会見で、所属議員と教団の関わりを調べるかどうかを問われ、消極姿勢を示した。党の立場と、個別議員の自主性を切り分け、火の粉を振り払おうとした形だ。

 ただ、狙い通りにいく保証はない。26日だけでも、安倍氏の実弟・岸信夫防衛相は選挙の際、教団メンバーから手伝いを受けたと説明。二之湯智国家公安委員長は、関連団体のイベントであいさつをしたと公表した。22日には末松信介文部科学相が教団関係者にパーティー券を購入してもらったと認めており、閣僚だけで3人となった。

 さらに、党幹部は「第1次安倍内閣で安倍氏の政務秘書官を務めた井上義行氏が、先の参院選で教団側の支援を受けた」と明かす。井上氏は教団の「賛同会員」だとしており、比例代表の党内13位で当選を果たした。

 立民や共産党などが追及の糸口を探るのが安倍派幹部の下村博文元文科相だ。旧統一教会は1990年代から名称変更を希望したとされるが、文化庁が受理したのは2015年。当時の文科相が下村氏だった。

 25日、立民の「被害対策本部」に出席したジャーナリストの有田芳生氏は、文化庁に問い合わせたところ、専決者は部長で、下村氏には事前説明したなどと回答があったと紹介。立民の中堅議員は「下村氏の『鶴の一声』で決まった可能性がある」と見立てる。一方の下村氏は21日、記者団に「全く関わっていない」と強く否定した。

「違い明らかに」

 当面、議員個々の対応に委ねる構えの自民を尻目に、立民は26日、所属議員や首長らを対象に実態調査を開始。既に日本維新の会も党内調査を決め、共産は教団と政界の関係を解明するため「追及チーム」を設置した。

 調査を急ぐのは、野党側も関与を指摘されたからだ。立民の篠原孝、小宮山泰子、中川正春の3衆院議員は教団もしくは関連団体が開いた会合に祝電を送り、国民民主党の玉木雄一郎代表は教団と関係が深いとされる世界日報の元社長から寄付を受けていた。追及はもろ刃の剣になりかねない。

 それでも態勢固めを急ぐのは、国会での本格論戦に備えるためだ。立民幹部は「早めに内部調査を済ませ、及び腰な自民との違いを際立たせたい」と意気込んでみせた。

(2022年7月27日朝刊掲載)

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