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連載・特集

緑地帯 熊原康博 地歴ウォークはやめられない②

 タイトルの「地歴ウォーク」は私が作った言葉ではない。これは、私が参画させてもらった「ひろしま地歴ウォーク」の書名から頂いたものである。本書は、高校の地理教員をされていた竹本伸先生が中心となって作られた本であり、広島のフォークソングの聖地、カープに関連した場所、知られざる被爆建物など、いままでにない広島のガイドブックである。私は、広島デルタの成り立ちや活断層、水害碑などについて寄稿した。

 この本の編集に関わると、勤務する広島大学がある東広島市旧西条町のことも同じスタイルで書いてみたくなった。自分一人では無理なので、学生にも著者として加わってもらうことを考えた。書店に並ぶ本を書くことは、自分自身で調べたことをわかりやすく一般の人に伝える作業であり、学生が将来教員になった時にも役立つだろうと考えた。そこで、私と人文地理学ゼミ大学院生の横川知司君で編集して「西条地歴ウォーク」を刊行した。西条町の地理や歴史に関すること、例えば古墳、西条柿、溜池(ためいけ)、赤瓦の屋根、廃線跡など、自分たちが調べたいと思うトピックを、地図や写真と文章で解説した内容である。横川君の営業努力もあり、重版するまでとなった。

 その後、「ひろしま地歴ウォーク 2巻」も出版され、現在3冊の地歴ウォークがそろい踏みとなった。実は、現在、西条地歴ウォークの続編で、対象範囲を東広島市の全域に広げた「東広島地歴ウォーク」の編集をおこなっている最中である。私がいうのも変であるが、読んでいてかなり面白い内容である。乞うご期待である。(広島大大学院准教授=広島市)

(2022年7月27日朝刊掲載)

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