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鳥取県・5市にも説明 30キロ圏 中電の島根2号機安全審査了解申請

 中国電力が島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の再稼働に向けた安全審査の事前了解を島根県と松江市に申し入れた21日、原発30キロ圏の鳥取県、両県5市も中電から説明を受けた。今後、稼働の是非に関し、島根県を通じて中電に意見することになる1県5市。申請内容の評価は「国の審査後」とし、稼働手続きの進行には大半が理解を示したが、一部には申請時期が「早い」との指摘もあった。

 「国の安全基準への対応を審査する申請を認めない理由はない」。中電幹部との会談を終え、出雲市の長岡秀人市長は強調した。

 出雲市を含む雲南、安来、米子、境港の5市と鳥取県の各首長にも、申請の意向を否定する意見はなかった。「県民への丁寧な説明を求める」とした鳥取県の平井伸治知事のように、中電に申請内容の真摯(しんし)な説明を望む声が目立った。いずれも議会、住民たちでつくる協議会などでの議論の後、態度を示す。

 一方、雲南市の速水雄一市長は申請のタイミングについて「早い、というのが率直な感想」と指摘。「(7月に施行した)新規制基準への対応は相当時間がかかると考えていた」と続けた。

 福島第1原発事故以前の稼働手続きでは、発言権を持たなかった1県5市。だが、7日までに島根県との間で意見反映に関する覚書を結んだ。県が稼働を判断する際、1県5市の意見を参考にするとの内容で、県と意見が異なった場合には中電に1県5市の意見が届く仕組みができた。

 しかし、稼働判断などの重要な局面で事前了解権を持つのは依然、県と松江市だけ。1県5市には立地する県と松江市並みの安全協定がないためだ。中電も1県5市への説明は「事前報告」と位置付けており、島根県、松江市への対応とは開きがあるのが実情だ。

 「立地、周辺自治体に線を引くほど(事故のリスクなどの)差はない」。出雲市の長岡市長はこう述べ、立地自治体並みの安全協定の締結を引き続き中電に求める考えを示した。

(2013年11月22日朝刊掲載)

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