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広島逓信病院 10月譲渡 日本郵政方針 診療・職員雇用は維持

 広島逓信病院(広島市中区)を運営する日本郵政(東京)が、同病院を医療法人社団生和会(周南市)に譲渡する方針を固めたことが27日、分かった。複数の関係者によると、譲渡日は10月1日で診療体制は当面維持されるという。日本郵政は全国で不採算の病院を整理しており、広島の病院も売却の対象とした。

 広島逓信病院は内科や外科など6科あり、病床数は110床ある。譲渡先の生和会は広島市中区や福山市、周南市などでリハビリテーション病院や介護老人保健施設を運営。関係者によると、10月以降も病床数や希望する職員の雇用は維持されるという。

 前身の広島逓信診療所は1922年に開設され、42年に現在の名称になった。元院長で45年の原爆投下直後から被爆者医療に尽くした故蜂谷道彦さんが原爆の残忍さを医師の視点でつづった「ヒロシマ日記」は、世界各国で出版された。被爆建物の旧外来棟は2018年に広島市に寄贈され、市が一般公開している。

 逓信病院は07年の郵政民営化時点で全国に14カ所あった。14年度に全体の病院関連の収支で60億円の赤字を計上。15年度以降、札幌や神戸など11病院の売却や閉院を進め、19年度から東京、広島、京都の3病院となっている。

 日本郵政広報部は広島逓信病院の譲渡について「関係機関との間で手続き中のため、現時点でコメントは差し控える」としている。(下高充生)

(2022年7月28日朝刊掲載)

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