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[NPT再検討会議2022] 「核戦力の透明性向上を」 岸田首相 演説で訴えへ

 岸田文雄首相が、8月1~26日に米ニューヨークの国連本部である核拡散防止条約(NPT)再検討会議の初日の演説で、中国などを念頭に核戦力の透明性向上を訴える方向で調整していることが28日、分かった。磯崎仁彦官房副長官が記者会見で明らかにした。別の政府関係者によると、首相は英語で演説するという。

 被爆地広島選出で、「核兵器のない世界」を掲げる首相にとって透明性は重要なキーワードだ。核軍縮の進め方に関する昨年の官民会合で、首相は「核戦力の透明性を高めることこそが核兵器削減の第一歩だ」と強調した。6月にドイツであった先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも、中国の核戦力増強などを念頭に「透明性向上に向けた取り組みを進めることが重要」と訴えていた。

 磯崎副長官は会見で、核戦力の透明性向上が演説に盛り込まれるかとの質問に「重要なテーマと認識している。そこも含めて検討ということだ」と述べた。

 首相はかねて包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始の重要性を唱えてきた。磯崎副長官は会見で「わが国は核兵器のない世界に向けた現実的な取り組みを進めるための努力を重ねてきた」と説明し、首相が両条約について触れる可能性を示唆した。

 関係者によると、広島、長崎の被爆の実態に改めて目を向ける呼び掛けも、首相演説の柱になるという。(境信重、口元惇矢)

(2022年7月29日朝刊掲載)

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