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連載・特集

手塚治虫展 「マンガの神様」のメッセージ <1> 手塚治虫ポートレート

 日本の戦後漫画の礎を築いた漫画家手塚治虫さん(1989年に60歳で死去)の膨大な業績をたどる「手塚治虫展」(中国新聞社など主催)が三次市東酒屋町の奥田元宋・小由女美術館で開かれている。直筆原画やアニメのセル画、愛用品などの資料約400点の展示のうち6点を同館の渡辺憲司学芸員が紹介する。

終始一貫「生命大事に」

 マンガとアニメの分野でさまざまな表現手法を開拓し、後世に多大な影響を与えたことで知られる「マンガの神様」手塚治虫。1928(昭和3)年に生まれ、子どもの頃から両親の影響でアニメーション映画や漫画に触れる機会に恵まれた。戦争中は何度も空襲に遭遇し、死の恐怖を目の当たりにしたという。

 17歳の時に4こま漫画で商業デビューすると、翌年作画を担当した「新寳島(しんたからじま)」が大ヒットし、人気マンガ家としての地位を確立する。

 作風は生涯通じて変化し続けたが、終始一貫して自身のマンガに込めたのは「生命を大事にしよう」というメッセージだと述べている。戦争体験を経た手塚のこのメッセージを展示作品から読み取っていただきたい。

 8月30日まで。水曜休館(8月10日を除く)。一般千円、大学・高校生500円、中学生以下無料。奥田元宋・小由女美術館☎0824(65)0010。

(2022年7月29日朝刊掲載)

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