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声で届けた新聞 漫画に 77年前 広島の物語 2・3日付朝刊で紹介

 紙がないから「声の新聞」を出そう―。77年前の夏、原爆投下で壊滅した広島で必要な情報を口で伝えた中国新聞社員の「口伝隊(くでんたい)」を描いた漫画=写真=が完成した。当時20代だった記者の手記に基づく物語。中国新聞社が創刊130周年に合わせて企画した。8月2、3日付朝刊で計全24ページを紹介する。

 漫画のタイトルは「声の新聞 力の限り」で、主人公は中国新聞の元記者八島ナツヱさん(2006年に87歳で死去)。本社を焼かれて新聞を発行できない中、救護所や食糧配給などの情報を「声」で報道した奮闘や葛藤を描く。

 比治山短大美術科(広島市東区)で漫画表現を教える講師くぼなおこさん(40)が制作。作画には20代の教え子2人も参加した。くぼさんは、多くの子どもたちに読んでもらうため「原爆のむごさばかりでなく、前を向こうと生きた人たちの姿を伝えるよう心掛けた」と話す。

 「声の新聞―」は、中国新聞社が企画した「まんが 被爆地の新聞社」全4編の1編。このほか報道記者やカメラマンを主人公にした3編を年内に制作し、冊子にまとめる。(奥田美奈子)

(2022年7月29日朝刊掲載)

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