×

ニュース

「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならぬ」 広島平和宣言に引用へ

トルストイ格言 露の核威嚇戒め

 8月6日の原爆の日に、広島市の松井一実市長が平和記念式典で読み上げる平和宣言で、ロシアの文豪トルストイの格言から「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない」との一文が引用される見通しであることが31日、分かった。

 ウクライナに侵攻したロシアが核兵器による脅しを続ける中、プーチン大統領の祖国の文豪が残した言葉を平和宣言に盛り込むことで警鐘を鳴らしたい意向とみられる。格言は「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない」と戒め、「他人の幸福の中にこそ自分の幸福もある」と続けている。

 松井市長は7月12日に市役所で開いた平和宣言の文案を検討する非公開の懇談会の会合後、トルストイの言葉を引用して「他人を脅し、自分中心で物事を考えるのは許されない」との趣旨のメッセージを伝えたい考えを示していた。松井市長は8月1日に平和宣言の骨子を発表する。

 市はことしの平和記念式典にロシアのプーチン大統領と同国の駐日大使を招待していない。またロシアの攻撃を支援したベラルーシの駐日大使も招いていない。いずれもウクライナ侵攻を踏まえて判断したという。(和多正憲)

(2022年8月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ