×

ニュース

戦争や核兵器 脅威リアルに ヒロシマ・アピールズ 21年版制作の大貫さん

東京で個展「平和へ発信続ける」

 核兵器廃絶や平和の尊さを国内外に訴える「ヒロシマ・アピールズ」ポスターの2021年版を制作したアートディレクター、大貫卓也さん(64)=東京都=の個展「ヒロシマ」が東京・銀座のクリエイションギャラリーG8で開かれている。戦争や核兵器の脅威にさらされる世界を表現し、都心から発信している。

 2021年版ポスターは、スノードームの中に平和を象徴する白いハトと、戦争や原爆、黒い雨を想起させる黒い粉を散らした構図。拡張現実(AR)技術を活用し、スマートフォンなどの端末をポスターにかざすと黒い粉がドーム内に充満する動画が見える。

 黒い粉がドーム内に満ちていく過程をこま送りのように表現したポスターも。核弾頭をイメージしたマークをパネルにびっしりと並べ、世界に1万3千発近く核弾頭が存在する実態を伝える作品もある。

 個展は、優れたグラフィックデザイン作品に贈られる亀倉雄策賞を受賞したのを記念して開催した。

 大貫さんは日清食品「カップヌードル」やサッカーJリーグのロゴマークといった広告やブランドイメージ作りで活躍し、現在は多摩美術大(東京)の教授。「若者の心に戦争の惨禍をどうリアルに感じてもらえるかを考えた。ロシアのウクライナ侵攻で世界の未来が予測できない中、平和への訴えを発信し続けたい」

 無料。20日まで。日曜と10~14日は休館。同ギャラリー☎03(6835)2260。(中川雅晴)

(2022年8月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ