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原爆開発のウラン供給 「コンゴの被害知って」メッセージ 南ア市民団体、6日のHANWA主催集会に

 広島市の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA、足立修一代表)主催の「8・6国際対話集会~反核の夕べ2022」が6日、中区の広島弁護士会館である。原爆開発のウランを供給したアフリカ中部コンゴ(旧ザイール)南部地域での住民被害調査を模索している南アフリカの市民団体が「ヒロシマと連帯したい」とメッセージを寄せる予定だ。

 第2次世界大戦中に米国が原爆を秘密裏に開発した「マンハッタン計画」では、旧ベルギー領コンゴのシンコロブエ鉱山で産出したウランが使われた。「広島と長崎の市民に、自分たちを苦しめた原爆の源流についてもっと知ってほしい」。南ア・ケープタウン在住のコンゴ出身者らで活動する「南アのコンゴ市民社会」(CCSSA)のイサイア・モンビロ代表(48)が、中国新聞のオンライン取材にそう語った。

 操業は1960年まで行われ、その後も違法採掘や崩落事故が続いているという。2004年にウランの違法取引なども含めて国連がまとめた実態調査報告書はあるものの「健康被害や環境汚染に関するデータや過去の資料はほとんどない。だが被害の存在は確実だ」と強調する。

 CCSSAは同胞の人権擁護や生活支援に取り組む団体。15年から「母国の歴史の欠落を埋めたい」と活動を広げている。その中でHANWAとつながった。

 クラウドファンディングのサイト「GoFundMe」で支援を募っているが、目標額に届いていない。困難は承知の上だという。「1940年代を知る人や遺族を捜し、聞き取りをしたい」とメンバーのジョー・イブス・サランカングさん(42)。「埋もれた原爆開発の被害に光を当て、名前を持つ一人一人に尊厳を与える作業でもある」

 コンゴを巡っては、戦時性暴力被害者の救済活動でノーベル平和賞を受けたデニ・ムクウェゲ医師を通じて、内戦の苛烈さが世界で注目された。モンビロさんは「現状では入国と滞在が十分可能」と説明する。集会は午後2時開始。元広島市長の平岡敬さん(94)が「核戦争をいかに防ぐか ヒロシマで考える」と題して講演する。聞き手は元朝日新聞記者のフリーランス記者、宮崎園子さん。資料代500円。事前申し込み不要。問い合わせは☎082(211)3342。(金崎由美)

(2022年8月1日朝刊掲載)

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