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被爆バイオリン 平和を願う音色 中区の教会で奉献演奏

 広島市中区の広島流川教会で31日、原爆投下直後の焼け跡から見つかった「被爆バイオリン」を奏で、犠牲者を追悼する「奉献演奏」があった。教会創立135年の記念行事の一環で、参列者たちが原爆の日を前に、平和への思いを新たにした。

 市生まれの被爆2世で、オランダ・アムステルダム在住のバイオリニスト栗田智子さん(56)が、信徒たち約80人を前にバッハの無伴奏曲を披露。演奏を終え、「ウクライナ人の音楽仲間もいる。より一層、平和を願いながら弾いた」と話した。

 被爆バイオリンは、広島女学校(現広島女学院中高)のロシア人音楽教師セルゲイ・パルチコフさんが原爆で倒壊した家屋の中から探し出し、死後に家族から同校に寄贈された。この日の演奏は、栗田さんの帰国に合わせて同教会が企画し、学校側から楽器を借り受けた。

 向井希夫(まれお)牧師(62)は「演奏を通じて、被爆バイオリンに関わった人々の歴史を語り伝えることができた」と喜んでいた。(加田智之)

(2022年8月1日朝刊掲載)

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