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[NPT再検討会議2022] 「核なき世界」プラン提示へ 岸田首相演説 機運反転目指す

 岸田文雄首相は29日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の幕開けとなる8月1日の演説で、核兵器保有国と非保有国が核廃絶に向けて手を取り合うよう呼びかける考えを示した。中国新聞などのインタビューで明らかにした。「核兵器のない世界」に向けた思いを込めた演説文は、地元広島の被爆者たちの声を参考に練ったという。

 日本の首相として初めて出席する岸田首相は官邸で取材に応じ、「核兵器のない世界を目指すという理想を改めて多くの国々と共有したい」と意気込んだ。

 「ロードマップと言えるようなプランを発することによって、理想を失わず、国際社会で協力しようと呼びかけることができれば」と強調。演説内容の具体には触れなかったが、かねて首相は核廃絶のうねりに保有国を巻き込む重要性や、非保有国とのつながり強化を説いてきた。

 ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用を示唆していることを念頭に「核軍縮・不拡散、核兵器のない世界を目指す議論が萎縮している」と憂慮。NPT再検討会議を「理想を掲げて(現状を)反転させるきっかけにしたい」と話した。

 被爆地選出の首相として「被爆者の方々の思いをしっかり踏まえて演説をしていきたい」と心情を吐露。被爆者や有識者から意見や助言を受けて演説文を練ったことを明かした。

 広島市ではことし11月下旬に国際賢人会議、来年5月には先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれ「核兵器のない世界」が重要なキーワードとなる。NPT再検討会議が呼び水となると見込む首相は「各国が合意できるような文書が取りまとめられれば理想だ」と述べ、議長声明での言及にも期待を寄せた。NPT再検討会議は米ニューヨークの国連本部で8月26日まで開かれる。(境信重)

(2022年7月30日朝刊掲載)

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