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被爆77年 広島の各局特番 核兵器の非人道性 訴える

 原爆投下から77年。広島県内のテレビ、ラジオ各局は特別番組で「8月6日」を発信する。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用の脅威が高まる中、核兵器の非人道性を訴える番組が目立つ。(木原由維)

■テレビ

 RCCテレビは午前8時45分、「それでも核兵器 要りますか」を放送。6月にオーストリア・ウィーンで核兵器禁止条約の第1回締約国会議に参加した広島の高校生や、今夏初めて被爆体験を語った男性を追う。

 広島ホームテレビのテレメンタリー2022「それでもボクらは核廃絶」(午後3時)は、同会議に自ら赴き、オブザーバー参加を拒否した日本政府の姿勢を問いかける広島出身の大学生の挑戦に迫る。

 広島テレビは午前8時から、平和記念式典の中継を含め「ウェークアップ×つなぐヒロシマ」を放送。18歳の俳優鈴木福が、核兵器廃絶へ向け広島で活動する同年代の高校生と語り合う。

 テレビ新広島の「ヒロシマ 祈りの場の1年~2021年8月―2022年7月」(午前10時25分)は、平和記念公園の1年間の記録。ウクライナ侵攻への憂いを筆に託し、原爆ドームを描く画家たちを映す。

■ラジオ

 RCCラジオは午前7時から約4時間、「週末ナチュラリスト」を生放送する。パーソナリティー岡佳奈が、原爆ドームと原爆慰霊碑を結ぶ「平和の軸線」を歩き、公園を設計した故丹下健三さんの思いを見つめる。

 NHKラジオ第1は5日午後8時5分から約2時間の生放送で「高橋源一郎の飛ぶ教室IN広島」。三原市出身の作家堀川恵子さんたちをゲストに迎え、尾道市出身の作家高橋さんが戦争について考える本を紹介する。

大竹しのぶ 平和を歌う NHK広島

 NHK広島放送局は8月4日午後7時半、アーティストら5組が平和への願いを歌うステージ「れいわのへいわソング」を放送する。オープニングで美空ひばりの反戦歌「一本の鉛筆」を披露する俳優大竹しのぶ(65)は「今ウクライナで起きている現実の悲惨さから目をそらさないで」と訴える。

 1974年の第1回広島平和音楽祭で誕生した楽曲。大竹が「広島で歌いたい」と自ら提案した。今月上旬に広島市内で収録。大切な人を亡くした悲しみを自分の言葉で一言一言書きつづる―。そんな女性の姿を歌詞から思い浮かべ、熱唱した。

 「一枚のハガキ」(2011年)など故新藤兼人監督作品に出演する常連だった。監督と親交を深めるうち、「戦争ほど愚かなことはない」との思いをたたきこまれた。「今の世界情勢を知ったら、監督はきっと悲しむ」。だからこそ映画や歌で「被爆者の怒りや苦しみ、絶望を表現し、継いでいく」と決意している。

 広島訪問は3年ぶり。真っ先に平和記念公園を歩き、原爆ドーム前を流れる元安川を見つめた。「たくさんの人が水を求めて入り、亡くなったんだ」とあらためて思うと、胸が締め付けられた。戦争を知らない世代にも、その悲劇に向き合ってほしいと願う。「自分にできることは何か、問いかけることも平和への一歩になる」と声を強めた。(木原由維)

(2022年7月30日朝刊掲載)

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