手塚治虫展 「マンガの神様」のメッセージ <2> 「鉄腕アトム」直筆カラー原稿
22年7月30日
科学と人間のはざまで
あどけない風貌で優しい心の持ち主だが、十万馬力などの能力で危機に立ち向かう。そんなヒーローとして世界中で愛され続けている「鉄腕アトム」。
1951(昭和26)年に連載開始した「アトム大使」で脇役としてデビューするとアトムは読者の人気を集め、人間的な性格を持たせようとの編集者のアドバイスを基に1年後、主役として登場した。学校に通うなど人間の少年としての生活を送りながら敵のロボットや悪役と戦う日々の中で、人間とロボットの板挟みとなって悩んだりもする。
手塚治虫がこの物語で描きたかったのは「科学と人間のディスコミュニケーション」であるという。その問題は本作誕生から70年たった今も続いているように思える。(奥田元宋・小由女美術館学芸員 渡辺憲司)
「手塚治虫展」(中国新聞社など主催)は、三次市東酒屋町の奥田元宋・小由女美術館で開催中。8月30日まで。水曜休館(8月10日を除く)。一般千円、大学・高校生500円、中学生以下無料。奥田元宋・小由女美術館☎0824(65)0010。
(2022年7月30日朝刊掲載)