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[こちら編集局です あなたの声から] 「外交で信頼」「疑惑未解明」 安倍元首相国葬 どう思う?

実績は評価 国費に疑問も

 政府が参院選の街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬をすると決めたことについて、編集局は読者に無料通信アプリLINE(ライン)で意見を求めた。「国に貢献した人なので国葬がふさわしい」「税金を使うべきではない」などさまざまな意見が寄せられた。

 広島市東区の無職男性(63)は「国際的にこれだけ信頼関係を築いた政治家はいない」とし「世界中の首脳が弔問に訪れるだけに国葬とするのは当然だ」と強調した。広島県海田町の会社員男性(43)は「国葬は銃撃テロに抗議する意思を(国内外に)示すことにつながる」と指摘した。

 「歴代最長の首相任期や政治活動中の受難であったことを考えると、十分に国葬に値する」と賛同するのは呉市の公務員男性(68)。政党や政治家への個人的な好き嫌いで判断するべきではないと主張した。廿日市市の男性(38)も「長期にわたり首相を務め、国に尽くした。道半ばで亡くなった方に感謝し、ご冥福を祈る場になる」とした。

 首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目となる。岸田文雄首相は国葬を決めた理由に①憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担った②外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている③民主主義の根幹である選挙中に受けた蛮行で急逝し、国内外から幅広い追悼の意が寄せられている―などを挙げている。

 LINEの投稿者の関心は開催に税金を使うことにも集まった。国と自民党が折半した2020年の中曽根康弘元首相の合同葬は総額2億円近くを要した。安倍元首相の国葬の費用は全額国が拠出する。

 国費の支出はやむを得ないという意見がある一方、「税金を使って思想信条を強制することになる」(福山市の60代主婦)「新型コロナウイルス禍で経済が落ち込んでいるので、国のお金は国民のために使ってほしい」(三原市の30代パート女性)という意見が目立った。国葬には法的根拠がないという指摘もあった。

 反対の立場からは南区の医師女性(66)が「森友・加計問題などの疑惑が解明されていない。国葬によって問題がなかったことになるのは困る」と寄せた。東区の公務員男性(58)は「野党議員や世論に是非を問うことなく閣議で『独断的』に開催を決めた。民意を問うプロセスを無視している」と批判した。

(2022年7月30日朝刊掲載)

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