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親族の被爆証言 語り継ぐ 広島 家族伝承者制補う 2世3人が会結成

 広島市内の被爆2世3人が、被爆した親族の証言を次世代に伝えるグループを結成した。被爆体験を語る場を設け、講話のまとめ方などを学ぶ。広島市が2022年度に養成を始めた「家族伝承者」は存命の家族から体験を受け継ぐことを条件としているため、亡くなった親族の体験も含めた証言活動を支える目的。(新山創)

 グループは「ヒバク2世の語ろう会」。被爆者の証言を第三者が受け継いで語る「被爆体験伝承者」を務めている佐々木佐久子さん(72)=西区=が代表に就いた。同じく伝承者の水野隆則さん(64)=安佐北区=と瀧口裕子さん(68)=中区=と7月25日に設立した。被爆3世も参加できる。

 発足のきっかけは家族伝承者制度のスタートだった。佐々木さんが5月の説明会に参加した際、親の介護で2年間に及ぶ研修への参加が難しかったり、認知症を患った親から体験を聞くことができなかったりするケースを聞いた。

 瀧口さん自身も被爆者の母を7年前に90歳で亡くし、制度に応募できなかった。母は国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)などに体験記を寄せていた。「私に体験を朗読してほしいと話した母の願いをかなえる場が欲しい」と言う。水野さんも「家族の存命が要件になることで悔しい思いをする人がいる。記録が残っていれば伝えられるはず」と賛同する。

 会では、3人が被爆体験伝承者として蓄積したノウハウを共有していく考え。祈念館は約15万編の被爆者の体験記を集めており、佐々木さんは「語り継ぐ親族の体験があるかどうか、被爆2世、3世の方は検索してみてほしい」と呼びかけている。同会事務室☎082(843)7814(平日午後1~5時)。

(2022年8月2日朝刊掲載)

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