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遺品が語る 被爆者の人生 東京・土田ヒロミさんが写真展

 ウクライナに侵攻したロシアが核兵器による威嚇に出たことを受け「ヒロシマ」を伝える意味を改めて説く写真家がいる。東京に居を構え、その腕を「土門拳賞」でたたえられた土田ヒロミさん(82)。広島の原爆資料館にある被爆者の遺品を写真に収め、都内のギャラリーに展示している。

 「ヒロシマ・コレクション」と題し、JCIIフォトサロン(千代田区)に43点を並べた。米軍が原爆を投下した午前8時15分で止まった時計や被爆の影響で抜け落ちた髪、子どもの破れた服…。モノクロ写真ならではの迫力がある。

 「被爆者の人生に思いを巡らせてほしい。遠くなりつつある歴史ではなく、現実的な問題として」。その思いで半世紀近く、被爆地の姿を切り取ってきた。

 ロシアの愚行に、ヒロシマの記憶をつなぐ意味を思い返しているという。「原爆による破壊は人類史に残る惨事だ。多くの人がわがことと感じてほしい」

 都内での無料の作品展は28日まで。9月から来年4月まで米ペンシルベニア州のカーネギー美術館に舞台を移す。米国での展示は2005年以来という。

 「核兵器の非人道性を幅広い人たちに理解してもらう機会にしたい」と土田さん。「それこそ私がヒロシマを撮り続ける理由でもある」(山本庸平)

(2022年8月2日朝刊掲載)

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