×

ニュース

絵本の世界で知る平和 安来で作家の浜田さん企画展 何げない日常を温かい色使いで

 子どもたちに平和の尊さを伝えている絵本作家、浜田桂子さん(東京都)の作品を原画で紹介する企画展「へいわってどんなこと?」が、安来市の市加納美術館で開かれている。慰霊の夏を控える中、ロシア軍によるウクライナ侵攻は5カ月以上が経過している。同館の加納佳世子名誉館長(77)は「命の大切さや平和を家族で考えるきっかけにしてほしい」と来館を呼びかけている。(高橋良輔)

 企画展は、浜田さんの絵本7作品の原画約100枚を展示。浜田さんたちが中国、韓国の作家と協力して制作し、日中韓で共同出版された絵本「へいわってどんなこと?」は「命より優先されるものは何もない」というメッセージを22枚の絵で表現している。

 人種の違う子どもたちが共に勉強したり、動物や植物と触れ合ったり…。浜田さんの作品は温かい色使いの絵で、普段はあまり意識しない日常的な平和を多面的に描く。絵本の文字は全てひらがなで「ぜったいに、ころしたらいけない。ころされたらいけない。ぶきなんかいらない」などと強いメッセージもある。

 加納名誉館長は「原画でしか分からない作者の思いを感じ取れる」と説明。印刷された絵本とは異なり、水彩やアクリル絵の具の筆遣いなど細部へのこだわりを実感できるとする。

 会場には浜田さんの絵本を用意。読んだり、原画と見比べたりできる。9月4日までで、午前9時~午後4時半。大人1100円、高校生・大学生550円、小中学生は無料。火曜は休館。同館は、安来市出身で平和活動に尽力した画家加納莞蕾(かんらい)の作品などを収蔵する。☎0854(36)0880。

(2022年8月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ