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慰霊式 学校主体で継続 「湯来原爆被害者の会」進む高齢化 手を挙げた地元の小中3校

碑清掃や当日の会場設営

 広島市佐伯区湯来町で毎年8月6日にある「湯来原爆死没者慰霊式」を存続させようと、地元の小中3校が今年から主催に加わる。これまで慰霊式を催してきた湯来原爆被害者の会の高齢化が進んで開催が難しくなっているため。児童、生徒たちが会場の準備などを担い、2023年以降は学校側が被爆者を招待する。(八百村耕平)

 慰霊式は1993年、町内の三つの被爆者団体が合流して原爆被害者の会が発足したのを機に始まった。市湯来福祉会館(サンピアゆき)=和田=に被爆者や子どもたちが集まって献花し、黙とうしている。これまで会が単独で催してきたが、今年は湯来中と湯来東、湯来西両小の児童、生徒たちが事前の慰霊碑清掃や、当日の会場設営に携わる。

 同会の会員は117人(今年3月末時点)でここ5年で約3割減少。平均年齢は86・67歳で慰霊式開催が重荷になっていた。20、21年に新型コロナウイルス禍で中止となったことも影響し、6月の役員会で慰霊式を今年限りで終わらせる提案が出された。反対意見はなかったという。

 このことを知った湯来中の大塚由美校長(63)は「これから被爆の記憶や平和への思いをつないでいくのは学校の役目ではないか」と存続を模索。湯来東、湯来西小とともに運営を引き継ぐことを申し出た。

 湯来中ではこれまで地元の被爆者から体験談を聞くなどしてきた経緯がある。生徒会長の3年白木愛華さん(14)は「平和について学び、後世に伝えるのは私たち世代の責任だと感じてきた。自覚して慰霊式に臨みたい」と力を込める。

 3校は来年以降、町内の被爆者への慰霊式の案内状送付なども担う方針。同会は主催に残る。内藤紘治会長(81)は「被爆者が減り原爆への関心が薄れていく中、若い子がつないでくれる意義は大きい」と感謝している。

(2022年8月3日朝刊掲載)

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