×

ニュース

[NPT再検討会議2022] 核禁条約「すべての国で」 一般討論演説 協調アピール

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は2日、一般討論演説を続けた。核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約の推進国が相次いで発言。NPTが誠実な交渉を義務付ける核軍縮が進まない中、「核兵器のない世界」に向けて禁止条約の重要性を唱え、各国の参加を呼びかけた。(ニューヨーク発 小林可奈)

 6月にオーストリアで開かれた禁止条約の第1回締約国会議で議長を務めた同国外務省のクメント軍縮局長が登壇。「禁止条約はNPTと補完関係にあるだけでなく、核軍縮と核不拡散の規範を強化する」と断言した。ロシアによる核の威嚇も起きている現状に警鐘を鳴らし、「禁止条約への参加をすべての国に求める」と訴えた。

 禁止条約は、2015年の前回NPT再検討会議が決裂した後、核軍縮の停滞に不満を持つ非保有国の主導で21年に発効した。これに対し、NPTで核兵器保有の特権を認められている米ロ英仏中が「NPTを弱体化させる」などと反発。対立状況を打開するため、禁止条約の加盟国はNPTとの協調を記した宣言と行動計画を締約国会議で採択した。

 来年にある禁止条約の第2回締約国会議の議長国を務めるメキシコの代表もこの日の一般討論演説で「私たちはNPTに対峙(たいじ)するためここにいるのではない」と述べ、協調姿勢をアピール。禁止条約推進側のタイの代表も禁止条約とNPTは共存できるとし「核兵器のない世界という共通の目標に向け、立場の異なる国との間の橋渡し役を務める準備はできている」と力を込めた。

(2022年8月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ