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[NPT再検討会議2022] 核抑止 依存減らすには 広島県など 国連本部でシンポ 「他国より優位に立ちたい」思惑や戦略絡む

 広島県などは2日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれている米ニューヨークの国連本部で、安全保障を自国や他国の核戦力に頼る「核抑止」への依存を減らす手だてを探るシンポジウムを開いた。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器による威嚇を繰り返す中、湯崎英彦知事は「核抑止論がはびこる危険な状況を阻止しなければいけない」と訴えた。(ニューヨーク発 樋口浩二)

 核軍縮や軍備管理に詳しい一橋大の秋山信将教授の進行で、欧米とアジアの計4人の専門家がパネリストを務めた。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のティティ・エラスト上級研究員は、核抑止には核戦争につながるリスクがあると強調。抑止への依存度を極力ゼロに近づける「抑止の最小化」を各国が目指すべきだと訴えた。

 核抑止への依存を深める背景には、「他国より優位に立ちたい」との各国の心理的な思惑や政治的戦略が複雑に絡むとの指摘も出た。湯崎知事は会合後「課題があるからこそいろいろな人の知恵を集め、乗り越えるための具体的な行動に移したい」と話した。

 県と、県など官民でつくる「へいわ創造機構ひろしま(HOPe)」が主催。HOPeのユース大使2人も参加した。その1人の県立広島高3年山崎麻菜美さん(17)=東広島市=は「核抑止について各国の人の意見を聞けて感銘を受けた。私は被爆4世として曽祖母の体験を語り継ぐ」と話した。県議会訪問団の中本隆志議長たち7人も傍聴した。

(2022年8月4日朝刊掲載)

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