×

連載・特集

手塚治虫展 「マンガの神様」のメッセージ <6> 手塚治虫の仕事場再現

二つの机で交互に作業

 手塚治虫が亡くなる直前まで使用していた机を再現している。右がマンガ原稿執筆用、左がアニメの作画用で、手塚は実際に二つの机を並べて交互に作業を行っていた。並んだ机を見ると作業面の高さが異なっているのが分かる。手塚は原稿を胸元の高さに置いて描く方が楽だったため、マンガ用の机は底上げして高さを調節し、目を近づけて執筆していた。アニメ用の机には「鉄腕アトム」の設定資料、絵コンテやタイムシートなどが所狭しと並べられていて、アニメで魅力ある動きを表現するための工程が透けて見えてくる。

 40年余りの作家人生で、昼夜を問わずひたすらマンガを描き、アニメを作った手塚治虫を象徴する光景と言えよう。(奥田元宋・小由女美術館学芸員 渡辺憲司)=おわり

 「手塚治虫展」(中国新聞社など主催)は、三次市東酒屋町の奥田元宋・小由女美術館で開催中。30日まで。水曜休館(10日を除く)。一般千円、大学・高校生500円、中学生以下無料。奥田元宋・小由女美術館☎0824(65)0010。

(2022年8月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ