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核禁条約 広がり期待 原水協・禁 広島大会始まる

 日本原水協と原水禁国民会議がそれぞれ中心となる二つの原水爆禁止世界大会の広島日程が4日、ともに広島グリーンアリーナ(広島市中区)で始まった。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器の脅威が改めて現実となる中、参加した被爆者たちの間から核兵器禁止条約の国際的な広がりを期待する声が上がった。

 日本原水協系の大会には1300人が集まった。6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議で議長を務めたオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮局長がビデオメッセージを寄せた。ウクライナ侵攻を挙げ「一部の国が核抑止論の有効性を信じ、再び依存する傾向が生まれた」と指摘し、禁止条約を「唯一の希望だ」と訴えた。

 国内外の被爆者たちも発言。日本被団協の児玉三智子事務局次長(84)=千葉県市川市=は日本政府に対し「条約に参加して核兵器廃絶の先頭に立つことが求められる」と呼び掛けた。

 原水禁国民会議系の大会には1200人が参加。金子哲夫共同議長(74)は「米国の核抑止力に頼る限り、核兵器保有国と非保有国の橋渡しは果たせない」と日本政府を批判。提起された大会基調でも禁止条約に後ろ向きな姿勢は「被爆者の思いと相いれない」とし、条約への署名・批准を迫った。

 いずれの世界大会も新型コロナウイルスの影響でオンライン中心が続き、本格的な対面形式は3年ぶり。長崎市での大会を含め9日まで続く。(口元惇矢)

(2022年8月5日朝刊掲載)

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