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被爆伝える紙芝居・写真 岩国で二つの展示会

 原爆の被害をテーマにした二つの展示会が、岩国市の山口銀行岩国支店(麻里布町)と市役所(今津町)で開かれている。被爆体験を基に描いた紙芝居や原爆投下後の広島と長崎を撮影した写真を並べる。77年前のあの日の惨状を今に伝え、核兵器の廃絶を訴えている。(有岡英俊)

 山口銀行岩国支店では、市原爆被害者の会が原爆資料館(広島市中区)から借りた資料のほか、山田英子会長(87)が園児向けに初めて作った紙芝居を展示する。山田会長は疎開先での暮らしや原爆投下直後の様子を18枚の画用紙に描き、7月下旬に広島市内の保育園で語り部をした際に使った。幼児でも関心を持ってもらえるよう柔らかな筆致で、折り紙を切り貼りして表現している。

 山田会長は「子どもたちが戦争について勉強し、これからの世界を考えるきっかけになれば」と願う。同会理事の中村美奈恵さん(60)が編集した会の活動を紹介する新聞も並ぶ。31日までで、土日祝日は休み。

 市役所1階の被爆写真と原爆の絵画展は、原水爆禁止岩国地域協議会が企画し、9日まで(6、7日は閉庁)。基町高(広島市中区)の生徒が被爆者の証言を基に描いた「原爆の絵」の複製画や、広島と長崎のきのこ雲の写真、原爆投下の経緯と威力を説明するパネルなど約50点を展示している。

 見学した岩国市中津町の国本千代子さん(82)は「無差別に罪のない人の命を奪う原爆の恐ろしさを改めて実感した。今もウクライナで多くの市民が亡くなり、国際情勢も緊迫化している。なぜ戦火は消えないのだろう」と話していた。

(2022年8月5日朝刊掲載)

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