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核兵器も戦争もない世を 広島きょう原爆の日

 広島は6日、米国による原爆投下から77年となる原爆の日を迎えた。ロシアのウクライナ侵攻を受け核兵器を巡る国際情勢が厳しさを増す中、広島市は午前8時から平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。亡き人を悼み、核兵器も戦争もない世界を願う一日となる。

 式典には、地元選出の岸田文雄首相が就任後初めて出席。国連トップとして12年ぶりにグテレス事務総長も参列する。

 松井一実市長と遺族代表2人が、この1年に死亡が確認された広島の被爆者4978人の名前を記した原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に奉納。名簿は123冊、計33万3907人になる。原爆投下時刻の午前8時15分に、遺族代表の米田慎志さん(45)=西区=と、こども代表の竹屋小6年舛本陽毬(ひまり)さん(12)=中区=が「平和の鐘」を突き、全員で黙とうする。

 松井市長は平和宣言で、ロシアの文豪トルストイの言葉を引き、核抑止論や武力による威嚇に警鐘を鳴らす。核兵器禁止条約に背を向ける日本政府には署名・批准を要請。前広島県被団協理事長の故坪井直さんの「ネバーギブアップ」の精神に触れ、核兵器廃絶の実現を訴える。

 「平和への誓い」は、幟町小6年バルバラ・アレックスさん(12)=中区=と、中島小6年山崎鈴(りん)さん(11)=同=が発表。岸田首相、グテレス事務総長もあいさつする。

 原爆ドーム前(広島市中区)の元安川では5日夜、市民団体が平和記念公園の「平和の灯(ともしび)」から採った種火をかがり火24基に点火。いかだで浮かべ、鎮魂と平和への願いを発信した。

 厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は3月末時点で11万8935人となり、初めて12万人を下回った。平均年齢は84・53歳で被爆の記憶の継承が急がれる。(和多正憲)

(2022年8月6日朝刊掲載)

2022年 広島市長の平和宣言

2022年 平和への誓い

岸田文雄首相あいさつ ヒロシマ8・6

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