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平和 知ることから始まる 映画「長崎の郵便配達」 川瀬美香監督 被爆者と英国人作家 交流描く

 長崎で郵便配達中に被爆し、核兵器廃絶を訴え続けた故谷口稜曄(すみてる)さんと、元軍人の英国人作家の交流をたどるドキュメンタリー「長崎の郵便配達」が上映中だ。英国人作家の長女が長崎を訪ね、2人の残した言葉をたどる物語。川瀬美香監督は「知ることから平和は始まる。戦争体験をどうつないでいくか、考えるきっかけにしてほしい」と語る。(木原由維)

 谷口さんは16歳で被爆。真っ赤に焼けただれた自らの背中の写真を国内外で示し、核兵器の悲惨さを訴え続けた。一方、ピーター・タウンゼントさん(1914~95年)は元英国軍人。戦後は著作活動を続ける中、谷口さんを取材。84年、映画と同タイトルの著書を出版し邦訳もされた。

 映画は、ピーターさんの長女イザベル・タウンゼントさん(61)が主演し、谷口さんが亡くなった翌2018年8月に長崎でロケ。ピーターさんの遺品から見つかった取材テープ10本を基に街を訪ね歩き、谷口さんの苦難や、生き延びた被爆者が差別や偏見、後遺症に苦しんだ実情も映し出す。かつて戦争に参戦したピーターさんの苦悩にも触れる。

 川瀬監督は、谷口さんと知人を介し14年に知り合った。「核兵器をいまだに持ち続ける国があることが許せない」と静かに話す姿が忘れられないという。15年春、核拡散防止条約再検討会議に合わせて訪米した谷口さんに同行し、その後も繰り返し面会。原爆というテーマの映像化に気後れしていたが、16年にイザベルさんと出会ったことで踏ん切りがついた。

 先月28日、広島で中高生向けに上映会を開いた。「映画でも音楽でもいい。被爆者から聞いた体験を表現し、伝えてほしい」と願う。

(2022年8月6日朝刊掲載)

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