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原爆の日を前に継承・祈り 被爆体験 亡き友思い語る 因島の星野さん、生々しく

 5歳の時、広島市の南観音町(現西区)の自宅で被爆した広島県尾道市因島中庄町の星野哲司さん(82)の体験を聴く集いが4日夜、同町の中庄公民館であった。6日の原爆の日を前に、平和の尊さなどについて考えてもらおうと同公民館が企画した。

 地元住民約50人が耳を傾けた。星野さんは、原爆投下の落ちた瞬間を「目の前でフラッシュをたかれたよう。数秒後にドーンという音がした」と振り返った。顔を覆った右腕にガラスの破片が突き刺さり、白いシャツは血だらけに。一緒に保育園に行くため、外で待っていた同級生の男の子は大やけどを負い、約1カ月後に亡くなった。

 家族は奇跡的に助かり、県職員だった父の転勤で福山市や呉市に住んだ。小学校で被爆者と話すと「ピカがうつる」などとからかわれ、生い立ちを隠していた時期もあったという。

 両親の古里因島で中学教員になってから体験を語るようになった。公民館の依頼で体験を語った星野さんは「あの時死んでいたかもしれない命。体調に不安はあるが、生きている限り、亡くなった同級生の分も語り継ぎたい。二度と同じことが起きないよう多くの人に惨状を伝え続ける」と話していた。(石下奈海)

(2022年8月6日朝刊掲載)

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