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核なき世界の願い 世代を超えて 山口

 米軍による広島への原爆投下から77年を迎えた6日、山口県内で犠牲者の追悼式や平和の鐘を鳴らす催しがあり、核兵器のない世界の実現を願った。

被爆者ら追悼式 山口・ゆだ苑

 山口市元町の県原爆被爆者支援センターゆだ苑では、追悼式が営まれ、被爆者たち約30人が参列し犠牲者の冥福を祈った。

 参列者は、献花台に花を手向け、原爆が投下された午前8時15分に黙とうした。軍人の原爆犠牲者の遺骨が発掘された同市江良の原爆死没者之碑も訪れ、手を合わせた。0歳の時、爆心地から2・6キロの広島市段原山崎町(現南区)の自宅で被爆した松川隆さん(77)=山口市白石=は、ロシアのウクライナ侵攻に触れ「悲劇が二度と繰り返されないよう、平和な世界を求め続けないといけない」と力を込めた。

 県内で被爆者健康手帳を持つ被爆者は、3月末現在で昨年同期より172人少ない1850人で、平均年齢は85・7歳となった。ゆだ苑の八代拓理事長(40)は「社会の中で原爆の記憶が薄くなっているからこそ、今後も被爆者を支援し、核兵器が使われないよう平和運動を進めていく」と述べた。(山下美波)

若き鐘の音 岩国・錦帯橋

 岩国市の錦帯橋では、平和への願いを込めて鐘を鳴らす催しがあり、高校生やボーイスカウトの小学生、地域の人たち約80人が参加した。

 主催した岩国ユネスコ協会の岡崎天隆会長(79)が、「多くの方が犠牲になられた。絶対戦争はあってはならないと、一人一人強い気持ちを持つことが大切」とあいさつした。その後、代表10人が1人ずつ橋の上で鐘を鳴らし、参加者全員で黙とうした。鐘を鳴らしたガールスカウトの平田小3年松岡未咲希さん(9)は「母に広島に原爆が落ちたことを教えてもらった。恐ろしい戦争はなくなってほしい」と話した。

 高校生の代表として平和のメッセージを読み上げた岩国高3年小島陵太さん(17)は「中国と台湾の関係に危機感を感じる。戦争を知らない若い自分たちが、社会のためにできることを考えたい」と力を込めた。(川村奈菜)

(2022年8月7日朝刊掲載)

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