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首相、就任後初の出席 国連総長12年ぶり

 広島市の平和記念公園(中区)であった6日の平和記念式典に、地元選出の岸田文雄首相と国連のグテレス事務総長がそろって出席した。あいさつで岸田首相は「いかに細く険しく難しかろうとも、核兵器のない世界への道のりを歩んでいく」と宣言。グテレス事務総長は「核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだ」と被爆地から世界へ発信した。

 爆心地を含む広島1区選出の岸田首相は就任後初の出席となった式典でのあいさつで、核兵器の使用が現実の問題として顕在化していると指摘。「広島の地から核兵器使用の惨禍を繰り返してはならないと、声を大にして世界の人々に訴える」と述べた。核兵器禁止条約には触れなかった。

 対照的に、グテレス事務総長は「希望の光」として、6月にあった核兵器禁止条約の第1回締約国会議での行動計画採択を評価した。12年ぶりに出席した国連トップとして「核兵器保有国が核戦争の可能性を認めるのは断じて許容できない」と明言。全ての保有国に「先制不使用」を宣言するよう迫った。

 2人は式典後、原爆資料館で会談した。岸田首相が核軍縮の先導役として意欲を示したのに対し、グテレス事務総長は「日本は道義的な権限がある」と期待を寄せ、連携を確認した。被爆者が身に着けていた衣服など、館内の展示も熱心に見学し、それぞれが折った鶴を寄贈した。(田中美千子、山本庸平)

(2022年8月7日朝刊掲載)

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