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核廃絶 平和 県北から願う

庄原・山内 慰霊祭 88人を悼む

三次・吉舎 死没者追悼 477人に

 広島原爆の日の6日、原爆や戦争で亡くなった人を悼む行事が庄原市と三次市で営まれた。ウクライナに侵攻したロシアが世界に向けて核兵器使用の威嚇をする中での追悼。家族や親族を亡くした遺族、地元住民たちは、核なき世界や恒久平和の実現を強く願い、その思いを受け継ぐ決意を新たにした。(林淳一郎、伊藤友一)

 原爆投下の3日後に広島陸軍病院庄原分院の臨時病棟が置かれた庄原市山内町では、山内地区社会福祉協議会が主催する原爆犠牲者慰霊祭があった。病棟となった山内西国民学校(現山内小)近くに立つ慰霊碑の前に、遺族や地元住民約50人が参列。広島から列車で搬送され、この地で亡くなった88人を悼んだ。

 同協議会の平岡一幸会長(65)は「山内から核廃絶の思いを訴えていく」と誓った。府中市上下町から参列した竹内百樹さん(77)は山内に運ばれた父一夫さん=当時(28)=を、1歳の誕生日の8月14日に亡くした。「父のことを全く覚えていない。平和な世の中を願うばかりだ」と話した。

 この日は庄原市東本町の宝蔵寺でも、庄原仏教会主催の追悼法要があった。各寺の僧侶約20人が読経し、戦没者の冥福を祈った。

 三次市吉舎町では、被爆者と被爆2世でつくる町原爆の会(62人)が、死没者慰霊追悼式を複合施設よっしゃ吉舎で営んだ。この1年で会員の被爆者6人が亡くなり、死没者名簿の記載者は477人になった。

 参列した会員たち20人が黙とう。母が入市被爆した栗原辰吉会長(71)は追悼の言葉で、ロシアによるウクライナ侵攻に「激しい怒りを覚える」と述べ、「核兵器廃絶と世界恒久平和は私たちの最大の願い。全力を尽くす」と誓った。式後、近くの慰霊碑に名簿を奉納。吉舎と敷地の両保育所の園児が折った千羽鶴もささげた。

 花山純子さん(91)は、原爆投下2日後に姉を捜すため広島市へ入った。「助けを求める人や見る影もない街が忘れられない。ひ孫たちに伝えます」と話した。

(2022年8月7日朝刊掲載)

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