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[NPT再検討会議2022] 核廃絶 人類に責任 被団協和田さんスピーチ

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、長崎で被爆した日本被団協の和田征子事務局次長(78)=横浜市=が5日、スピーチした。ロシアの「核の脅し」により核戦争が現実味を帯びているとして、「新たな被爆者が生まれるかもしれない」と危機感を表明。核兵器を生み出した人類には廃絶する責任があると訴えた。(ニューヨーク発 樋口浩二、小林可奈)

 非政府組織(NGO)による発表の機会に議場後方から、各国・地域の政府代表へ英語で語った。1歳10カ月の時に被爆。遺体が自宅隣の空き地に大八車で運ばれ、連日焼かれたという母から聞いた光景を紹介し「人間の尊厳とは何だろうか。人はこんな扱いを受けるためにつくられたのではない」と怒りを込めた。

 核兵器保有国が核兵器禁止条約に背を向け、特にロシアが核兵器使用を示唆する現状に、広島、長崎に次ぐ戦争での3度目の核兵器使用を懸念。2010年の再検討会議で合意した核兵器廃絶の「明確な約束」について誠実に議論するよう求めた。「核兵器は人が造り、人が使った。なくせるのも人の英知と公共の良心であり、責任だ。ノーモア・ヒバクシャ」と締めくくり、拍手を浴びた。

 傍聴した英国の研究機関マネジャー、ポール・イングラムさん(54)は「被爆者の証言には人の心を打つ力がある」と話した。

 核兵器廃絶や恒久平和を目指す世界約8千都市の連帯組織である平和首長会議(会長・松井一実広島市長)を代表し、副会長の田上富久長崎市長も演説した。「人類が核兵器のリスクから免れるための唯一の手段は廃絶しかない」と説き、長崎を最後の戦争被爆地にするよう迫った。

(2022年8月7日朝刊掲載)

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