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厳戒態勢 「見せる警備」 探知機で参列者を検査

 安倍晋三元首相が7月に銃撃されて死亡した事件を受け、平和記念公園(広島市中区)で6日にあった平和記念式典は厳戒態勢が敷かれた。主催した広島市は広島県警と連携し、制服警察官や市職員を例年より増員した「見せる警備」を実施。金属探知機による参列者の検査も導入し、鎮魂の場は物々しい雰囲気に包まれた。

 会場への立ち入り規制が始まった午前5時。市職員が公園の外周に数メートル間隔で散らばった。制服警察官は周辺道路の曲がり角など要所要所に立ったほか、公園内の遊歩道を巡回し、ごみ箱の中を入念に調べる姿もあった。

 要人向けを除く2カ所の入り口では従来の手荷物検査に加え、警備員が参列者一人一人に金属探知機をかざし、危険物の持ち込みをチェック。私服警察官とみられる一団も、不審者が紛れ込んでいないか鋭い視線を送っていた。

 参列した中区の会社員立脇圭さん(35)は「厳重な警備に驚いたが仕方ない。ここまでしないといけない社会の方が問題だ」と理解を示した。

 式典が始まると、岸田文雄首相をはじめ要人の周辺にはSP(警護官)らが張り付き、周囲を警戒。式典周辺のデモなどにも目を光らせた。公園に面する平和大通りは入場できない人であふれ、岩国市の菅田逸郎さん(87)は「平和を願う式典なのに」と残念そうに話した。

 県警によると、この日は約2千人態勢で警備に臨んだ。広島市では来年5月に先進7カ国首脳会議(G7サミット)を控える。県警の中本悟志警備課長は「市をはじめ関係機関との連携によって無事に終えることができた。サミットでは県市などとの連携をさらに深め、気を引き締めて万全の警備に臨みたい」と話した。

(2022年8月7日朝刊掲載)

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