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被爆者「行動を」 核廃絶訴え証言 NYの教会

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、米ニューヨークを訪れている日本被団協の派遣団は7日、市内の教会で被爆体験を証言した。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器による威嚇を続ける中、集まった約20人と核兵器廃絶に向けた行動を考えた。(ニューヨーク発 樋口浩二、小林可奈)

 5歳の頃、長崎で被爆した事務局長の木戸季市さん(82)=岐阜市=はロシアの行動を念頭に「核兵器をなくすため、一緒に何ができるか考えたい」と強調。使われれば、多くの悲惨な死をもたらす核兵器を「絶対悪」とし廃絶を訴えた。

 事務局次長の2人も参加。長崎の被爆者の和田征子さん(78)=横浜市=は「核兵器廃絶を祈るだけではなく、行動してほしい」と求め、広島の胎内被爆者の浜住治郎さん(76)=東京都=は「核兵器は世界に約1万3千発もある。なくなるまで被爆者は死ねない」と語った。

 イタリアから旅行中の教員アンジェリカ・ルジェロさん(35)は「原爆に命を奪われた家族の分まで生き、証言を続ける被爆者の言葉に心を動かされた」と涙し、「生徒たちとも証言を共有したい」と話した。

 派遣団はこの日で訪米日程を終え、8日、帰国の途に。木戸さんは再検討会議について「何とか核兵器の廃絶につながる合意をみてほしい」と願った。

(2022年8月9日朝刊掲載)

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