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軍縮機運の後退懸念 国連総長 8・6参列「忘れられぬ」

 国連のグテレス事務総長は8日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。ロシアによるウクライナ侵攻や台湾問題に触れ「核戦争のリスクが再び高まっている」と指摘。核兵器廃絶を呼びかけるとともに保有国に対し「透明性を示し、使用にも脅しにも使わないことを求める」と述べた。

 広島原爆の日の6日、平和記念式典に参列し、原爆資料館を見学したことを「忘れられない経験だ」と振り返った。岸田文雄首相が核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核兵器不使用の継続など5本柱の行動計画を示したことには「平和のため強固な声を上げてくれた」と評価。核兵器禁止条約の重要性をかねて説くグテレス氏だが、会見では条約に背を向ける日本の姿勢については「主権国が決めるべきことだ」と述べるにとどめた。

 ロシアが核兵器を威嚇に用いるなど、核軍縮の機運が後退していることに懸念を示した。保有国が核戦力に投じる資金は「もっと気候変動や貧困対策に充てられるべきだ」と強調。来年5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、再生可能エネルギーへの転換が進むよう「日本が橋渡し役を果たしてほしい」と期待を寄せた。

 銃撃事件で亡くなった安倍晋三元首相については「(日本と)国連の関係強化を成し遂げた」としのんだ。(中川雅晴)

(2022年8月9日朝刊掲載)

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