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祖国思いつつ勉学に決意 広島大受け入れのウクライナ人男性 会見で周囲への感謝も

 ロシアによるウクライナ侵攻で学業を続けられなくなり、広島大が外国人研究生として受け入れたウクライナ人のアントン・クドリャフツォフさん(22)が8日、東広島市の同大東広島キャンパスで記者会見した。現地に残る家族を思いつつ、周囲への感謝と勉学への決意を語った。(教蓮孝匡)

 クドリャフツォフさんはウクライナ西部のリビウ市で家族と暮らしながら、リビウ国立大で電子工学を学んだ。ロシア軍の侵攻で学業の先行きが見通せなくなり、インターネットで国外の大学の情報を収集。4月、研究したい分野の教員がそろう広島大にメールで連絡した。同大がオンラインで面談を重ね、理学部数学科の研究生として受け入れることを決めていた。

 指導教員となる古宇田悠哉教授の下で10月から本格的に学びながら、来年秋の大学院進学を目指す。同大は当面の学費を全て免除し、学生宿舎も無償で提供。生活費も支援する。

 クドリャフツォフさんによると、交通などリビウの都市機能は現在、おおむね平常通り動いているものの、ミサイル被弾を近くで目撃するなど戦火の中での学生生活を送ってきた。

 リビウ国立大を卒業後の7月末にウクライナをたち、今月2日に広島入りした。会見で「この町で今は深く眠れている。受け入れに感謝したい。家族の安全を願いながら勉強に励む」と話した。

(2022年8月9日朝刊掲載)

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