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被爆体験記 動画で世界へ ノートルダム清心中高と広島女学院中高の卒業生5人 英語で朗読 核兵器廃絶願う

 ノートルダム清心中高(広島市西区)と広島女学院中高(中区)の卒業生5人が、広島の被爆者で4月に84歳で亡くなった大阪府吹田市の水江顕子さんの体験記を英語で朗読する動画を制作した。世界の人々に被爆体験を知ってもらい、水江さんも望んでいた核兵器のない世界へ向けた一歩になればと願う。(河野揚)

 千田国民学校(現千田小)2年だった水江さんはあの日、平野町(現中区)の自宅で被爆した。大けがはなかったが、仲良しだった近所の道子ちゃんを亡くした。水江さんは2007年、「若い世代に原爆の悲惨さを知ってほしい」と体験記を日本語でまとめた。

 キリスト教の教会の勉強会でこの体験記を知ったノートルダム清心中高の卒業生で東京都の主婦水越緑さん(61)たちが20年8月に英訳。より多くの人に知ってもらおうと、英語での朗読動画の配信を思い立った。

 水越さんの呼びかけに同級生たちが応じた。同中高出身で廿日市市の主婦中尾真由美さん(61)と西区の団体職員伊丹陽子さん(60)のほか、知人でいずれも広島女学院中高出身の東京都の通訳藤田浩恵さん(61)と広島市中区の教員前田由紀さん(55)。ことし2月に準備を始め、7月上旬に中区のスタジオで録音した。

 動画は「Little Michiko(リトルミチコ)」の題名で約24分。被爆当時の写真や英文を表示しながら、5人が1人ずつ順番に英文を読み上げている。今月上旬に動画投稿サイトのユーチューブで配信を始めた。

 今後は、水江さんの姉で広島の被爆者の高梨曠子(ひろこ)さん(92)=東京都=の体験記の英訳を広島の高校生に朗読してもらう動画の制作を企画する。水越さんは「若い世代にも活動に加わってもらい、水江さんたち姉妹の思いを伝えていきたい」と話す。動画のアドレスは https://www.youtube.com/channel/UCJ7D_28bO17A6CF53oaN2Ww

(2022年8月9日朝刊掲載)

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