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[NPT再検討会議2022] 「核共有」で日中が応酬 第2委員会 討議始まる

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、第2委員会(核不拡散)が8日、討議を始めた。米国の核兵器を同盟国に配備し、共同運用する「核共有」を巡り、中国が日本を名指しして「露骨な核拡散」と批判。日本は答弁権を使って核共有の検討を否定した。(ニューヨーク発 小林可奈)

 各国・地域の政府による意見表明で、中国の代表は「最近、日本をはじめ一部の国から、米国との核共有を求める声が繰り返し聞かれるようになった」と主張。「アジア太平洋地域で核共有を再現しようとする試みは、露骨な核拡散。地域の国々の断固たる反対や対抗措置も招くだろう」と強調した。中国は2日の一般討論演説でも同様の発言をしていた。

 日本国内の核共有を巡る議論は、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえて、故安倍晋三元首相たちが提起。一方、岸田文雄首相は「非核三原則を堅持するわが国の立場から考えて認められない」と述べ、政府として検討しない考えを示した経緯がある。

 第2委員会で、日本の代表は答弁権を行使。「政府外の専門家の中には、北朝鮮や中国といった地域で核兵器が増えたため、検討の必要性を指摘する人もいる。しかし、日本政府は、検討していないと明確に表明している」と切り返した。

 8日は、第3委員会(原子力の平和利用)も討議を始めた。第1委員会(核軍縮)は4日から討議を続けている。

(2022年8月10日朝刊掲載)

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