×

ニュース

原水爆禁止世界大会閉幕【解説】核禁条約非参加に憤り 世代超えた連帯に希望

 被爆者や核兵器廃絶を願う人々がどんな声を上げるのか。注目された今夏の原水爆禁止世界大会。会場を包んだのは憤りだった。

 核兵器による威嚇に出たロシアはもとより、その非人道的な兵器を縛る核兵器禁止条約に後ろ向きなままの日本政府に対してだ。6月にあった同条約の第1回締約国会議。被爆国日本がオブザーバー参加しなかったことに批判が相次いだ。

 被爆地の広島選出で「核兵器のない世界」がライフワークだと公言する岸田文雄首相に期待した分、落胆も色濃かったといえる。歴代政権と同じく米国の「核の傘」にすがる構図。広島での大会で登壇者が「今のままでは核保有国と非保有国の橋渡しは果たせない」と嘆いたのも当然だ。

 新型コロナウイルス禍で自粛していた対面型の本格会合が3年ぶりに復活した。顔を突き合わせたことで、前向きな空気が生まれた感もある。一つの活力になったのは高校生平和大使たちの誓いだ。「私たちは被爆者から直接話を聞ける最後の世代。その思いを受け継ぐ」。世代や国の垣根を越え、核兵器廃絶のうねりを広げてほしい。(口元惇矢)

(2022年8月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ