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府中中生 投下巡り討論 長崎原爆の日 生徒実行委提案で「集い」

 長崎原爆の日の9日、府中中(府中町)では全校生徒約660人が集い、原爆投下を巡る討論会を開いた。広島だけでなく長崎の被爆体験にも目を向け、核や戦争について考えを深めようと3年生による実行委員会が企画した。(森田裕美)

 実行委メンバーは22人。昨年度修学旅行で長崎を訪れたことを機に、夏休み中の8月9日を登校日にするよう教員に提案、準備を重ねてきた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、1~3年の18クラスをネットでつないで六つの班をつくった。長崎の平和祈念式典の中継動画を見守り、原爆投下時刻に黙とう。田上富久市長の平和宣言や被爆者の平和への誓いに耳を傾けた。

 続いて「原爆投下責任はどこにあるか」「原爆が投下されなかったらどんな世界になっていたか」をテーマに討論。自分と異なる意見には「なぜそう思うのか」などと質問し合った。

 「原爆が投下されていなかったら」という問いには「日本も核保有国になっていたかもしれない」などの理由で「今より良い世界になっていたとはいえない」との意見が大半を占めた。

 「では原爆投下は良かったのかといえば、そうではないはず」。実行委の3年林友紀さん(14)は、「短時間では踏み込んだ議論ができなかったが、これをきっかけに学びを深めたい」と話す。竹谷海璃さん(14)も「長崎の被爆者の声や平和宣言を聞いたことが議論にどう影響したか、さらに考えたい」と意欲を語った。

 中坊京子校長は「答えが一つではない問題に生徒が自主的に向き合う取り組みを今後につなげたい」と話していた。

(2022年8月10日朝刊掲載)

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