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旧被服支廠 活用考える 元動員学徒ら団体設立へ

 旧陸軍被服支廠(広島市南区)で被爆した元動員学徒たちが、建物の活用策について考える市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会(仮称)」の来年2月設立を目指し、準備を進めている。賛同呼び掛けを兼ねて、被爆建物に関する講演会を今月15日午後1時20分から、原爆資料館東館(中区)で開く。

 15歳の時に被爆した中西巌さん(83)=呉市=ら。懇談会を発足させ、旧陸軍被服支廠を中心に被爆建物を守るため、講演会や調査・研究などの啓発活動を行う計画。

 講演会では、広島大大学院教授の杉本俊多さん(63)=建築学=が「被爆建物の意味を問う」、都市計画プランナーの山下和也さん(56)=南区=が「旧被服支廠について」と題して話す。懇談会の概要説明もあり、賛同者を募る。中西さんは「被爆者に残された時間は少ない。陸軍被服支廠の保存、活用策について知恵を絞り、管理する県に働き掛けたい」と話している。

 講演会は入場無料。事前申し込み不要。事務局の内藤さんTel082(928)0068。(増田咲子)

旧陸軍被服支廠
 爆心地の南東約2・7キロの広島市南区出汐にある鉄筋3階建ての4棟。外壁はれんがで、L字形に並んでいる。1913年に完成。原爆の爆風でゆがんだ鉄扉が残る。被爆直後は、臨時の救護所になった。戦後は、運送会社の倉庫や広島大の学生寮として使われた。今は、4棟全て広島県が管理。耐震補強のための巨額の工事費がネックとなり、活用策が決まっていない。

(2013年12月2日朝刊掲載)

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