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ウクライナから避難のスポダさん 夢実現目指し江津で寮生活 日本語学校入学 「いつかアニメ制作を」

 ロシアの侵攻を受けるウクライナから避難してきた女性が、江津市のはなまる日本語学校に入学し、市内で寮生活をしている。女性は、母国にいた頃から日本のアニメ好きで、日本語を独学で学んでいた。「いつか日本で制作に携わりたい」と、アニメクリエーターになる夢に向かって学習に励んでいる。(土井和樹)

 ウクライナ北部、人口30万人弱のチェルニヒウ出身のナタリーヤ・スポダさん(28)。7月19日の入学以降、週5日通学し、会話や文法の基礎を学んでいる。

 故郷では6月、ロシア軍の兵士が押し寄せてインフラを遮断。住民は薬の入手も困難になった。母親は残ったが、学校でセラピストとして働いていたスポダさんは、母親の勧めでポーランドに一時避難した。

 3年前、アニメをきっかけに日本に興味を抱くようになり、1年前に日本語を学び始めたスポダさん。故郷を離れる際、かばんにキャラクターを描いたノートや、絵を描くためのデジタル端末を詰め込んだ。ポーランドで支援を受けた団体に日本への思いを訴え、避難民支援のプロジェクトに参加していた同校への入学が決まった。

 現在は、江津市内の元旅館の寮で他の5カ国計約20人の留学生と暮らす。自室はかつての客室。居間はかつての番頭部屋。スポダさんは「まるでテレビの世界の中にいるみたい」と笑う。

 低いテーブルでの食事や布団での就寝など戸惑いだらけだが、アニメを見たり、母国料理を振る舞ったりするのが日々の楽しみ。気掛かりは残る母だが、「日本の会社で働いて、自分でアニメを制作したい」と前を向き、アルバイトでの自立を目指している。

(2022年8月15日朝刊掲載)

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