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夏満喫 オブジェも彩り ひろしま盆ダンス開幕

 3年ぶりの開催となった「ひろしま盆ダンス」(中国新聞社主催、広島市共催)。浴衣姿などで集った市民たちは久々の夏の催しを満喫した。初めて会場となった広島みなと公園(広島市南区)の地元では、にぎわいの拠点となることへの期待も広がった。

 夕暮れにちょうちんの明かりがともると、会場は夏祭りムード一色に。「これまで夏らしいことができなかった。子どもたちの思い出になれば」。呉市の会社員永沼宏典さん(36)は長男凛太朗(りんたろう)ちゃん(3)とそろって甚平姿で来場し、声を弾ませた。

 太鼓の拍子が鳴り響く中、やぐらを囲むように集まって踊りを楽しむ参加者。初めての盆踊りという南区の小学4年森本凪(なぎ)さん(9)は「浴衣も着られたし、踊りも楽しかった」と喜んだ。

 彩りを添えたのは、折り鶴のオブジェ。広島市立大(安佐南区)の学生有志3人が全国から集まった約40万羽を、原爆ドームや水面をイメージして飾り付けた。来場者が撮影を楽しむ様子に修士課程1年の川端万結子(まゆこ)さん(22)は「誰もがこうして平和を感じられるような日々が続いてほしい」と願った。

 初めてとなる南区での開催に、地元住民の力も入った。南区の離島、似島で江戸時代から伝わる盆踊りの舞台もあり、同島出身の谷岡義則さん(78)=広島県坂町=が発する口説きに合わせて、県民踊協会の約40人が舞った。「似島の文化を多くの人に見てもらえることが何より」と谷岡さん。ゆったりとした節回しで声を張り、盛り上げた。

 消毒の徹底など感染症対策を講じ、地元宇品地区の社会福祉協議会の協力も得て開催にこぎつけた。宇品西地区社会福祉協議会の中原健治会長(83)は「ようやく夏らしさを取り戻した感じ。イベントをきっかけに地域も元気になれば」と喜んでいた。(岩崎新、堅次亮平)

(2022年8月14日朝刊掲載)

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