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終戦の日 追悼・平和 思い新た 山口

 終戦から77年となった15日、山口県内各地で戦争犠牲者を悼む集会や催しがあった。ロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢が緊迫する中、参加者は戦没者の冥福を祈り、平和への思いを新たにした。

メッセージ託す光の帯 岩国 今津川で灯籠流し

 岩国市今津町の今津川では、戦争で亡くなった人や先祖を供養する灯籠流しがあった。約200個の灯籠が川面を照らした。

 赤や青、緑などの色紙で作った高さ約20センチの灯籠に地元の住民が「安らかに」「平和になりますように」などとメッセージを添えた。午後8時に市漁協の船が川の中央まで運び、ろうそくに火をともしてそっと水面に浮かべた。住民たちは川辺から、ゆっくりと流れる光の帯を静かに見守っていた。

 同市旭町の主婦坂田恵美さん(40)は「大切な人に平和が来ますように」と灯籠に書いた。「笑顔が増えて幸せと感じる瞬間が増えれば。世界の戦争が早く終わり、平和が訪れてほしい」と願っていた。

 灯籠流しは昭和40年代後半を最後に途絶えていたが、住民有志が2015年、戦後70年を機に約40年ぶりに復活させた。新型コロナウイルスの影響で20年から中止が続き、3年ぶりに開いた。(黒川雅弘)

命大切に 鳴らす鐘 周南 回天記念館そばで集会

 旧日本軍の人間魚雷「回天」の訓練基地があった周南市の大津島では、平和を願って鐘を鳴らす集会があった。中学生たち市民84人が参加し、戦争のない世界へ思いを込めた。

 参加者は、回天記念館のそばにある「平和祈念の鐘」を突いた。周防大島町の沖合で戦時中に爆沈した戦艦陸奥の砲身が鋳込まれた鐘は、鎮魂の音色を島内に響かせた。先立って行われた集会では、全員が黙とうをささげ、「すべての生命を大切にします」など6項目の平和宣言を読み上げた。

 地元の徳山ユネスコ協会が毎夏開き22回目。原田茂会長(84)はロシアのウクライナ侵攻に触れ「戦争を起こさないよう真剣に世界が考えていかねばならない。大津島から平和を発信したい」と語った。太華中3年高松舞さん(14)は「戦争を考える機会にしようと参加した。戦争が二度とないように願って鐘を突いた」と話した。(中井幹夫)

(2022年8月13日朝刊掲載)

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