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[NPT再検討会議2022] 原発攻撃 露非難相次ぐ 第3委員会 拘束力ある対策訴え

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3委員会(原子力の平和利用)で9日、ウクライナの原発を攻撃しているロシアへの非難が相次いだ。ウクライナは「ロシアの核テロには限界がない」と主張。大惨事につながりかねない状況に警鐘を鳴らし、攻撃を禁じる法的な合意を求めた。(ニューヨーク発 小林可奈)

 各国・地域の政府代表による意見表明で、ウクライナは、同国南部にある欧州最大級のザポロジエ原発が激しい砲撃の後にロシア軍に制圧されたと説明した。「国際法の規範と原則に、はなはだしく違反している」と強調し、ウクライナの原発の上空閉鎖や防空システムの提供を国際社会に要請。原子力施設への攻撃を禁じる法的拘束力のある合意を採択する必要性を訴えた。

 ロシア軍は3月4日、ザポロジエ原発を砲撃し、制圧。約500人のロシア兵を駐留させ、今月に入っても攻撃したとされる。ウクライナ侵攻直後に、北部チェルノブイリ原発も一時、制圧していた。

 この日の第3委員会で、スイスはロシアの攻撃を糾弾した上で「平和目的の原子力施設への武力攻撃は、国連憲章や国際法違反に相当する」と指摘。「争いの全当事者に原子力施設近くで軍事行動を行わないことと、国際人道法を尊重することを求める」とした。

 ブラジルも「ウクライナの原子力施設の安全性に大きな懸念を表明する」と発言。ニュージーランドは「ロシアの不当で違法な攻撃で、原子力の安全性にかつてない脅威がもたらされたと認識することが重要。引き続き、ロシアの行為を最大限強い言葉で非難する」と断じた。

(2022年8月11日朝刊掲載)

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