×

ニュース

[NPT再検討会議2022] 核禁条約の表現強化を 第1委 最終文書巡り推進国

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1委員会(核軍縮)は15日、最終文書に向けた議論を本格化させた。素案で核兵器禁止条約に触れた点を条約推進国は歓迎しつつ、表現の強化を要求。条約の意義を表す文言を加えるよう訴えた。(ニューヨーク発 小林可奈)

 核兵器を全面的に違法化した禁止条約について、素案では昨年1月の発効や今年6月の第1回締約国会議開催など事実関係のみ記載。NPTに加盟する一方、禁止条約に反発する核兵器保有国や同盟国への配慮がにじんでいる。

 これを受け、キリバスの代表は「禁止条約とNPTが補い合う関係であることについて触れていない」と指摘。核軍縮の誠実な交渉を義務付けたNPT第6条を挙げ「禁止条約は、軍縮の責任を果たすための効果的な措置」などと明示するよう提案した。

 来年開催予定の禁止条約第2回締約国会議の議長国となるメキシコは「禁止条約はNPTと完全に共存できると私たちは信じている」と同調。第1回会議の議長国を務めたオーストリアも禁止条約とNPTの整合性に言及し「事実に基づく強化を求める」とした。

 一方、保有国側は、禁止条約制定の要因にもなった核兵器の非人道性に関する素案の内容を問題視した。英国は「大きく修正する」と表明。従来、非人道性の議論に反発してきたフランスは「人道的影響に関するフランスの立場を思い出させるのは有益でない」とけん制した。

(2022年8月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ