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島根原発事故時 周辺3県から調達しても 避難バス 目標の5割強

 島根県は2日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故を想定した県内の原発30キロ圏約39万6千人のバス避難について、必要台数の試算を初めて明らかにした。約3割の住民がバスを使うと仮定。約4800台が必要と分析したのに対し、県内に加え広島、山口、岡山の3県の協力を得ても5割強の2600台しか調達できないことが分かった。(樋口浩二)

 交通手段の確保を中心に課題が山積する原発事故時の住民避難の難しさをあらためて浮き彫りにした。県避難対策室は「四国、関西地方を含め、より広範な調達を検討中。調達の仕組みづくりは国に求めている」としている。

 県議会本会議の一問一答質問で示した。県内でバスを保有する44社への調査(24社が回答)などから約200台の確保を想定。さらに、中国運輸局の調査から隣接3県にある約2400台を調達できるとした。1台当たりの乗車人数は25人に設定。バス避難者の割合は2、3割がバスを使ったとされる福島第1原発事故を参考にした。

 県は、自家用車で避難する人も多いとみている。昨年11月から鳥取県と進めている避難シミュレーションの結果を年度内に公表する。交通渋滞を踏まえた避難時間の試算が主な内容。着手後、1年以上経過したことには「信号情報など基礎データの入力に時間がかかった」(同対策室)としている。

 両県は事故の際、30キロ圏約46万9千人を広島、岡山県を含む中国地方4県の69市町村へ避難させる計画。最終の避難場所は市町村間で調整しており、県は公表しないという。

(2013年12月3日朝刊掲載)

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