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[NPT再検討会議2022] 核軍縮停滞 条約の危機 最終文書 第1委が素案改定

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1委員会(核軍縮)は16日、最終文書の素案の改定版をまとめた。核兵器保有国が核軍縮交渉に誠実に取り組まなければ「条約の信用性を危険にさらすだろう」との内容を追加。NPT体制への危機感を強調し、核兵器廃絶へ前進を迫っている。(ニューヨーク発 小林可奈)

 改定版は、過去の再検討会議の核軍縮を巡る合意を挙げ「核軍縮に向けた具体的で速やかな進展が、条約本来の姿と信頼性の維持のために依然として欠かせない」との表現も加え、核軍縮を促す文言を強化した。核による威嚇の増加への懸念も示した。

 一方、保有国が抵抗を示した非人道性の項目は、核兵器の中長期的な被害などに触れた従来の表現を保った。核兵器禁止条約については昨年1月の発効など事実関係のみの記載を維持し、条約推進国が求めた「禁止条約とNPTは共存できる」などの意義付けは見送った。NPTとジェンダーの視点の関連性を示した文言は一部削除した。

 委員会の補助機関も15日付で素案の改定版を作成。保有国による核兵器の「先制不使用」と、敵の核攻撃阻止や反撃などに核兵器の役割を限る「唯一の目的」政策の採用を残している。

(2022年8月18日朝刊掲載)

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