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[NPT再検討会議2022] 核禁条約を巡り攻防 第1委 ジェンダー削除も

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1委員会(核軍縮)は17日、最終文書に向けた討議を進めた。核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約の扱いを巡り、条約賛同国と核兵器保有国が対立。素案の改定版でジェンダーに関する記述が削除された点にも、反論が続出した。(ニューヨーク発 小林可奈)

 「禁止条約はNPTと補い合う関係にある。全ての国が速やかに条約に参加することを強く求める」。討議冒頭で、メキシコが条約の署名・加盟国を代表して声明を読み上げ、条約の意義を強調した。

 第1委員会は12日付の最終文書の素案で、禁止条約について昨年1月の発効など事実関係のみ記載。条約推進国は「禁止条約とNPTは共存できる」などの意義付けを加えるよう求めている。16日付の改定版には反映されておらず、17日の討議でも表現の強化を相次ぎ訴えた。

 これに対し、核保有五大国の一つのフランスは「これでは合意に近づけない」と反発。米国も「条約が普遍的でない限り、国際法上の禁止を確立したと言えない」とけん制した。

 ほかに、当初の素案にあった「ジェンダーの視点」という表現が改定版で削除されたのを多くの国が取り上げた。コスタリカは「容認できない。性の多様性への認識が欠けている」と指摘し、表記の復活を強く求めた。「ジェンダーはタブーなのか?」と問いただす意見もあった。一方、イラクは「会議はジェンダーや多様性の見解に対して答える場ではない」と主張し、削除に賛意を示した。

 この日は、委員会の補助機関が素案の再改定版を作成。保有国による「先制不使用」宣言の採用は維持する一方、核兵器の役割を敵の核攻撃阻止や反撃に限る「唯一の目的」政策の文言はなくなった。

(2022年8月19日朝刊掲載)

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