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社説・コラム

[あの人 このヒト] やない平和を語る会代表 柳井市柳井 久保優子さん

被爆者の声 伝え続ける

 広島に原爆が落とされた8月6日に毎年、山口県柳井市内で被爆者の体験を聴く会を開く。約20年前、米国で受けた衝撃が活動の原点になった。

 首都ワシントンで小学生に紙芝居を見せた。2歳で被爆し病床で鶴を折りながら12歳で亡くなった佐々木禎子さんの生涯を伝えた。始める前、男の子が「原爆(投下)は戦争を早く終わらせた」と勇ましく言った。他の子も同調し自分とのギャップに驚いた。しかし心を込めて読むと、子どもたちの表情は悲しみへ変わった。ただ知らないだけなのだと分かった。

 訪れたスミソニアン航空宇宙博物館では、広島に原爆を投下した爆撃機エノラ・ゲイの展示を見て、被害について解説がほとんどないことに怒りが湧いた。伝えないと―。強く思った。

 地元に帰り、戦争や空襲を経験した人の声を広め始めた。「語り合うことで、多くの人と平和への思いをつなげたい」(山本祐司)

(2022年8月22日朝刊掲載)

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