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社説・コラム

最終合意「可能性ある」 スラウビネン議長に聞く

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議のスラウビネン議長が19日、中国新聞の単独インタビューに応じた。ウクライナ情勢などを背景に難航必至とされている最終文書の採択について「可能性はある」と説明。核兵器保有国が核軍縮を進める姿勢を示す必要性を強調した。(ニューヨーク発 小林可奈)

  ―10回目となる今回の会議は最も難しいとみられています。最終文書に合意できますか。
 確かにこれまでで最も難しい会議となるかもしれない。ただ、困難な状況だからこそ、各国に妥協を促すこともできる。NPT体制の維持はあらゆる人にとって重要だ。このような状況下でも、共通の見地に達する必要性を加盟国が認識していると期待している。会議は想定よりもうまく運んできているが、さまざまな課題は残る。あと1週間、難しい交渉が続くが合意に達する可能性はある。

  ―合意に向け、何が鍵となりますか。
 核軍縮の問題解決が重要だ。核軍縮を待ち続けてきた核兵器非保有国は、その停滞に不満を抱いている。保有国は現在の国際情勢では核軍縮を進められないと言うが、具体的な行動に取り組む姿勢を示すのが大切だ。北朝鮮や中東、ウクライナを巡る問題などへの対応も求められている。

  ―最終文書は核兵器禁止条約に言及できますか。
 発効などの事実関係にとどめるなら、盛り込めるのではないだろうか。ただ、禁止条約の参加国は「NPTと補い合う関係」などの言及も求めているのに対し、保有国をはじめ条約に加わっていない国は拒んでいる。この意見の相違を解決する交渉は必要だ。

  ―最終文書の合意が難しい場合、従来と違う形で何らかの成果文書を作る考えはありますか。
 来週の半ばまでに合意形成が難しいと分かれば、別の選択肢を考え始めなければならない。ただ、まずは従来通り、条約の運用の検討や今後の方策を包括する一つの文書の作成に取り組む。それが当面の目標だ。

(2022年8月21日朝刊掲載)

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